Home > NZ情報 > 暮らし > ニュース > クア・タコト・テ・マヌカ - 異文化の伝統に触れるチャレンジ
ありきたりの体験ではなく、感動をもたらす本物の体験をするなら、異文化の伝統に触れられるニュージーランドほど最適な場所はありません。
ニュージーランドの先住民、マオリの人々は、遥か昔、故郷を離れ、木彫りの施されたワカ・ハウルア(航海用カヌー)に乗って太平洋を渡り、この地へやってきました。マオリ語で「ティカンガ・マオリ」と呼ばれるユニークなマオリ文化は、英国の植民地となった19世紀には消滅の危機を迎えましたが、現代も豊かに繁栄しています。各イウィ(部族)は代々、先祖から受け継がれてきた伝統を守ってきました。旅行者はニュージーランドのどこにいても、豊かなマオリ文化を体験することができます。
1000年以上前に、伝説の航海者クペが最初にニュージーランドを発見したように、ポリネシアの人々は現在でも、船造りの名人であり、航海や操縦の技術にも優れています。ポリネシアに起源をもつマオリの人々も、今なら宇宙飛行士が宇宙を探検するように、太平洋の未知の世界を探検していたのです。
旅行者も、クペをはじめとするマオリの祖先と同じように、海の神、タンガロアの神話に触れながら、マオリのルーツでもあるワカを漕ぐ体験ができます。漕ぐだけでなく、ワカにまつわる歴史に触れたり、漕ぎ方に関する伝統儀式なども貴重な異文化体験となります。
まず、ワカの乗船前に旅行者はマオリの伝統的な歓迎の儀式ポフィリに参加しなければなりません。ポフィリは迫力のある重要な儀式で、いくつかの段階を経て行われます。
ポフィリの前に行われるウェロは、部族を代表する戦士による、訪問者に対する挑戦の儀式です。これは、訪問者(マヌヒリ)が平和目的でやってきたのか、戦闘目的にやってきたのかを確認するためのものです。
まず、2人を従えた先頭の戦士が、タンガタ・フェヌア(土地の人々、つまりマオリ)と訪問者との間のスペースを横切り、タイアハ(棒状の木製武器)を振り回します。この熱のこもった、武器を巧みに操る動作は、敵であるかもしれない訪問者に対し、自分たちは戦闘の準備を整え、すぐにでも応戦できる状態にある、ということを示すものです。
その後に戦士は、訪問の意図を尋ねるために、タキと呼ばれる、小枝かまたは彫刻が施された小さな物を地面に置きます。訪問者の代表は、平和目的で来訪したことを示すためにタキを拾い上げます。昔ならいざ知らず、戦いを挑むために誰も拾わない、ということは今の時代ほとんどありません。
タキが拾われると、戦士は腿の外側を叩くことによって、タンガタ・フェヌアにマヌヒリは平和目的でやって来たことを告げます。
戦士が腿の外側を叩くと、タンガタ・フェヌアの女性によるカランガが始まります。カランガとは、耳に響く物悲しい歓迎の発声で、マヌヒリをゲストとして迎えるものです。ここからはスピーチや、鼻と鼻をつける挨拶、ホンギが交わされ、ポフィリの締めくくりとしてハンギ料理が振舞われます。
ハンギはマオリ伝統の料理方法です。石を火に入れて熱してから、穴の中へ入れ、肉、魚や野菜類を入れたバスケットをこの石の上に置き、穴を大きな葉でふさぎ、蒸し焼きになるように上から土をかぶせます。
旅行者は料理だけでなく、有名な戦闘前の踊りハカやワイアタ(歌)といった伝統芸能、ファカイロ(彫刻)やラランガ(編み物)といった伝統芸術を学ぶこともできます。
男性なら、オールブラックスの試合前に行われる有名なハカの「カ・マテ」を習ったり、女性なら、ポイと呼ばれる紐の先に付いたボールを動かすダンスを習うのも、異文化ならではの体験です。ハカもポイも流儀は部族ごとによって異なりますが、伝統的なマオリの武器の使い方を学べる点では共通しています。
「タ・モコ」と呼ばれる伝統的な入れ墨には、その人物それぞれに特有の情報、つまり属する家系や部族のつながり、社会組織の中での立場などが含まれています。西洋化の波の中でモコの伝統も失われつつありましたが、ここ50年の間に復活を遂げ、現在では全国でモコ専門の入れ墨師が活躍しています。一般的なマオリ風の入れ墨「キリトゥヒ」は、文字通り、「肌に施す」という意味で、アイデンティティを示す正統なモコとは区別されています。このキリトゥヒは旅行者でも誰でも入れることができます。
伝統的な料理や芸術、儀式を体験したら、キリトゥヒを施すのも、異文化体験のよい思い出になるかもしれません。